64‐ロクヨン‐前編/後編

SYNOPSIS – 映画概要

昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン事件」。未解決のまま14年が経ち、時効まであと1年に迫った平成14年。警察庁長官による現場慰問が行われることとなり、D県警では被害者の父、雨宮芳男との交渉が進められていた。
交渉を担当していた県警警務部広報官三上(佐藤浩市)は、警察を全く信用せず慰問を受け入れない雨宮の態度に疑問を抱き、独自で「ロクヨン事件」を調べ始める。持ち上がる警察内部の隠蔽工作、謎。時を同じくして「ロクヨン事件」を摸倣した誘拐身代金事件が発生し、二つの事件は複雑に絡み合っていく。

EMOTION – 感動

なかなか映画を見る機会もない日々が続いた。そんな中、この映画を選んだのは、時効1年と迫った事件に対し、当時傷を追った人たちの時計が一気に進み出し、痛みを伴いながら解決に向かっていく、というストーリーを想像し、直近に起こった自分の振り返りをうまく感情的にさせてくれるのでは、という想定からだったことは、至極個人的な理由である。

予想はあまり外れてはおらず、警察という職業の中、それぞれに理想を掲げて動いていた人たちが、事件が未解決のまま世間から風化し、それぞれが色々な向き合い方で日常を送る事を決断していた。ある人は事件にフタをし、無かったことに。ある人は後悔し、仕事を辞してしまう。ある人はしがみつき、自らの時計を止めて向き合う日々。

設定や映画に対する撮り方や脚本について、とやかく言う知識はないのですが、佐藤浩市の演じる主人公三上が取り戻す「火」が、だらだらと続く無思考な日々を突き動かしていく様は、

「水は低きに流れ、人は易きに流れる」

事を示唆し、またそれをひっくり返す生き方は、素直に格好いいと思えた。

僕がこの映画心が動いたポイントは、

1つは社会の中の一個人が、自らの理想と向き合うことは苦しく、それが何故実現しないか、どうしたら実現できるのかを探すことは無駄なことで、むしろ捨ててしまい、組織のルールに適合していく方が、うまく生きられることができるのではないかという、ある意味での(皆がなんとなくそうだよな、と感じている)正解を、改めて「本当にそうかい?」と問うてくれているように感じた。正しいことを言うやつを当たり前のように無視している人を、大いなる違和感を持って描いていたのではないか。

1つは殺人事件という取り返しのつかない過ちに関する話だが、それほど大きく見えない小さな保身や自分の仕事を楽にするための仕事が、同じように人を傷つける悪だということ。自分だけが得をし、人を傷つけようが関係ない、という物事の進め方は、対話のない身勝手な行動という点で類似していて、人の人生を変えてしまい、恨みは循環し、また新たな歪みを起こすのだということ。

1つは身近な人に対しても対話が重要で、自分のことだけで考える思考は、人と分かり合えない自分を生み出し、想いや愛情は空回りしてしまうこと。それを解決することは、他人になんと言われようと、僕はあなたを信じている、愛しているという事を、丁寧に伝えること。

人間は、とても不器用だし、土壇場にならないと、自分ごとにして考えないことは当たり前なのかもしれない。人が死んでも、自分の肉親が死ぬまで、心を寄り添わせることはしないだろうし、自分に子どもが生まれるまで、子どもが風邪で休む人の気持ちはわからないだろう。そういう意味で、大きく挑戦している自分の人生が、多様な経験を生んでいるし、その分多くの人の気持ちがわかるはず。そうしたら、その分だけ人に優しくなれるし、わからないことは対話しようと思っている。改めてそう、思わせてくる映画でした。
なんだか飛躍したかもしれませんが、これは僕の感情の揺れ動きなので、悪しからず。

また他の作品も紹介していきますね。

INFORMATION – 映画情報

64-ロクヨン-前編/後編
監督:瀬々敬久
原作:横山秀夫『64(ロクヨン) 上 (文春文庫) / 64(ロクヨン) 下 (文春文庫)
脚本:久松真一 / 瀬々敬久
主演:佐藤浩市
出演:綾野剛 / 榮倉奈々 / 夏川結衣 / 緒方直人 / 瑛太 / 奥田瑛二 / 吉岡秀隆 / 永瀬正敏 / 三浦友和
配給:東宝
興収:3,680,000,000円(前編 1,940,000,000円 / 後編 1,740,000,000円)

エグゼクティブプロデューサー:平野隆
プロデューサー:木村理津 / 大原真人 / 渡邉敬介 / 浅野博貴 / 伊藤正昭
音楽:村松崇継
主題歌:小田和正「風は止んだ」
音楽制作:日音 Story Music Tellers 映画「64-ロクヨン-前編/後編」オリジナル・サウンドトラック

助成:文化庁文化芸術振興費補助金
製作委員会:TBSテレビ / 東宝 / 電通 / CBCテレビ / WOWWOW / 朝日新聞社 / 毎日新聞社 / TBSラジオ / MBS / RKB / KDDI / コブラピクチャーズ / HBC / TBC / BSN / SBS / RSK / RCC / GYAO / TCエンタテインメント / 日本出版販売
制作プロダクション:コブラピクチャーズ
制作幹事:TBSテレビ

『半落ち』『クライマーズ・ハイ』など数々の傑作を生み出してきた横山秀夫が7年ぶりに世に放った衝撃作『64(ロクヨン)』は、2012年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、2013年「このミステリーがすごい!」第1位などに輝き、瞬く間に文壇を席巻した。そんな究極のミステリーが、日本映画界を代表する超豪華オールスターキャストによって、前後編2部作のエンタテインメント超大作『64—ロクヨン—前編/後編』として、ついに映画化。
かつては刑事部の刑事、現在は警務部の広報官として、昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」に挑む主人公・三上義信に、日本映画界が誇る名優・佐藤浩市。三上の部下として奔走する広報室係長・諏訪に綾野剛。諏訪と共に三上を支える広報室婦警・美雲に榮倉奈々。広報室と対立する県警記者クラブを取りまとめる東洋新聞キャップ・秋川に瑛太。「ロクヨン」事件被害者の父・雨宮芳男を永瀬正敏。三上の刑事時代の上司で、かつて「ロクヨン」追尾班長も務めた捜査一課長・松岡勝俊に三浦友和。そのほか、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、などベテランから若手まで主演級の俳優陣が、いずれも物語の重要な役柄として出演。さらに、エンディングで流れる主題歌「風は止んだ」を担当したのは小田和正。そして、『ヘヴンズ ストーリー』(2010年)で「第61回ベルリン国際映画祭」国際批評家連盟賞を受賞するなど世界的にもその実力が評価されている鬼才・瀬々敬久が監督を務めた。
主人公・三上義信は、警察という組織の中で生きる個人としての葛藤を背負い込みながら、広報官として常にマスコミからの外圧にも晒されている。さらには父親として、娘の家出失踪という家族の問題も抱えながら。そんな三上が、「ロクヨン」事件の真相に辿り着いた先に見たものとは―
映画『64—ロクヨン—前編/後編』は、「ロクヨン」事件の真相を巡る究極のミステリーであることはもちろん、三上を取り巻くすべての登場人物たちの心情が複雑に絡み合う重厚な人間ドラマである。そして、原作とは異なる映画ならではのエンディングに、見る者すべてが慟哭する。

MEMO – 気づきメモ

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